幼児への早期英語教育は必要か

自分がアメリカの大学を卒業している関係上、また娘2人が現在アメリカの大学に通っている関係上、たまにこの質問を聞かれます。

 

幼児への早期英語教育って必要?

やっぱりできるだけ早いうちから英語を教えた方がいい?

 

大学入試制度改革で、英語の試験も大きく変わりそうだし、早く始めないと置いていかれるような気分になるのはよく分かる。 

ママ友達から「うちはもう始めてるよ」なんて聞くと、自分の子はグローバル社会の中で落ちこぼれるんじゃないかと不安になったりするのも分かる。

 

その気持ちは理解できる上で、

早期英語教育、我が家は全くやりませんでした。完全にゼロです。

さらに付け加えるなら、今アメリカの大学で勉強をしている娘たち2人とも、高校を卒業するまで、一度も英語教室的なところに通ったこともありませんでした。

 

理由1:お金がかかるし自分の余裕も根気もなかったから

早期英語教育をやらなかった最大の理由は「お金がかかるから」。1ヶ月8000円として、年間で10万。5年で50万。2人通ったら5年で100万。保育料を稼ぎ出すのに必死だったあのころに、英語教室にお金をかける余裕はありませんでした。

金銭面に加えて、小学校に上がる前の子に英語を学ばせるとなると、親の根気が必要です。

考えれば分かるとおり、週に1時間や2時間程度、塾で英語を習ったところで、話せるようにはなりません。パイナポーやアポーを綺麗な発音で言えるようにはなるでしょうが、所詮その程度です。

これは英語の先生の力量や教え方うんぬんではありません。単純に子どもにとって英語に触れる時間が絶対的に足りないから。家庭で英語を使う時間を増やさなければ、すぐに抜け落ちてしまいます。

 

だったら、アナタ自分で教えられるんじゃないの?って?

そう思いますよね。

でも自分で教えるとなると精神衛生上よくないだろうということが最初から分かりました。教えることのプロでもない、アマチュアですらない私が、わが子に英語を教えようとしたところで、結果への期待ばかり高まって、英語力以前に日々の育児が破たんするのは火を見るより明らか。そもそも日々の育児すらままならない私にそんな余裕もない。

自分がのびのびして、子どもものびのびしていられること。それが私が幼児を育てていたころに最優先していたことでした。

 

理由2:本人のやる気が一番だと思ったから

私は1991年~1995年にアメリカで大学に通っていました。知り合った日本人留学生は何人もいたけれど、早期英語教育を受けた人は多分ゼロ。みんな中学くらいから英語を始めた学生ばかり。それぞれが成長の過程で、「自分のやりたいことを実現するためにアメリカで学びたい」という思いで大学に来た人です。

そんな高尚な目的でなくても、「憧れの国で学びたい」「世界中に友達がほしい」でも十分な理由になるでしょう。

とにかく、自分の意思や目的があって、英語を学び、英語ができるようになったケースしか見当たりませんでした。

 

自分を含め、周囲に「幼少期に英語をやらされた人」がいなかったということが、早期英語教育に熱が入らない理由のひとつになりました。

本人のやる気が確認できない状態で、親が熱くなるのは避けたいと思ったのです。

 

早期教育への疑問→ある温泉で見た光景

ある温泉に行ったときのこと。2~3歳くらいの娘ちゃんを連れたお母さんがいました。普通の親子なのですが、お母さんの娘ちゃんへの片言英語の話しかけがすごかった。

お母さん自身おそらくあまり英語が話せるわけではないけれど、でも(だからこそ?)早期英語教育に相当熱心なのが見て取れる感じで。

娘ちゃんが「ママ、ゆきだるま」って片言で話しかけてるのに、「ルックルック、バタフラーイ」と返答してる。会話が全然かみ合ってない。

「でたい」という娘ちゃんに対して、「ノーノーノー、ステイ。ステイ。体がhotになるまで。ウォーキン!ウォーキン!」と…。

お母さんの気合の入り方がちょっと怖い。

私のささやかな経験からして、これはおそらくやめておいた方がいいパターンだと思いました。余計なお世話でしょうが。

 

ではいつから始めたらいいのか

ではいつから英語を始めたらいいのでしょうか。

私の個人的意見としては、学校の授業のスタート時期で十分だと思います。今は多くの地域で小学校から英語教育が始まっているので、それで十分。

もしも親の立場から、子どもの英語の興味を高めたいというならば、映画やアニメ、音楽あたりから、ちょいちょいと関心のスイッチを刺激してあげたらいいと思います。

私の場合は、中学のころに洋楽に出会ったのが、その後の人生に大きく影響を与えました。

今なら、ホストファミリーとして外国人の子どもを受け入れてみるというのもいいきっかけになるかもしれないですね。

あとは、子どもにさせるだけではなく自分自身も学ぶこと。親が学んでる様子を見たら、子ども自然に興味を持ってくれるでしょう。親世代もまだ30~40代なら、いくらでも学べます。まずは自分でやってみること。

 

発音はあまり気にしなくていい

○歳までに始めないと、LとRの発音が云々…って多くの人が気にしがちだけど、これも気にしなくて大丈夫。

英語はいまや、ネイティブ以外の人がどんどん使うようになっています。仕事のため、勉強のため、必要にかられて等々、さまざまな理由で世界中の人が英語を使用しています。

つまり、いろんなルーツを持っている人たちがそれぞれ英語を話すわけで、中国語なまり、スペイン語なまり、ヒンズー語なまり。なまりを持った人たちがたくさんいるんです。

そしてみんな堂々と話してる。

大事なのは、話すべきときに臆することなく話す能力をつけておくこと。

自分の発音じゃ通じないんじゃないか…とビビるのではなく、「なんで私の英語が聞き取れないの?もう一回言うからちゃんと聞いて」くらいでちょうどいいのではないでしょうか。

 

自分の意見が言える子に

英語が話せる以前に大事なことがあります。それは「自分の意見が言えること」

これ日本人が決定的に苦手とする分野です。

日本では、学校生活の中で、静かに座って先生の話を聞く生徒がよい生徒であるとされてきました。今でもそうです。小中高と12年かけて培われるこの性質はそう簡単に変わりません。そのおかげで、何かと意見を求められるアメリカでは、私自身さんざん苦しんだし、娘たちも今まさに日々嘆いている最中。

英語で「オーレンジ」「キューカンバー」を綺麗な発音で言えるようになるより、自分の考えを持ち、それを伝えるスキルを身につけること。

 

これ、大人になってもなかなか難しい。

自分の考えを持つこと。それを的確に表現すること。

私も発展途上なので、こうやってブログで訓練しております。

 

まとめ

一般論ではなくて、自分の経験から感じたことをまとめました。

「幼児への早期英語教育は必要か」という質問に対しては、「(凡人が集う)我が家には必要なかった」という答えになります。

早期教育って、英語に限らず焦ってしまいがちな分野ですが、慌てることはありません。「○○ちゃんちが始めたからウチも」みたいな競争に乗らないよう注意しましょう。疲れますので。

あまり過度な期待をせず「英語で歌が歌えればいいかな」くらいなら、楽しんで通わせるのもありでしょう。

あと、何十人に一人くらい、ずばぬけて語学に長けている人(子ども)がいます。感動するくらいに。そういう秀才レベルの子には、早い段階でよい教室を探して、良質な教育を受けてほしいです。これはもう神様からのギフトですから。

凡人のひとりとして、心から応援します。

この記事を書いた人

yuka

管理人のユカです。
20年前に子育て支援系NPOを作り、10年前に株式会社を作りました。
モットーは「まーなんとかなる」。
とりあえず今までの人生、まぁなんとかなってます。神様ありがとう。
未来のことは分かりませんが、笑って過ごしていたいと思います。